Story 3
不便さの出てきた自宅のリノベか、駅近の新築へ住み替えか。
老後の暮らし、2ヶ月話し合っても出なかった結論が……。
共働きで子供のいない50代半ばの私たちは、18年前に購入した95平米のマンションに住んでいます。通勤先まで多少時間がかかり、駅からの坂道を10分弱ほど歩くのが少し億劫になる時はありますが、近くに公園もあり、7階の窓からの景色も開け、静かな環境で大きな不満もなく過ごしてきました。
夫の定年が近づいてから、ここに住み続けるのかぼんやり考えるようになりました。
「どうする?これからの25年。あの坂道これからも登れるかな?」「もっと都心に近い方が、年取ったら便利かもね。病院に行くにも」……その程度の会話しかしていなかったのですが、ある日夫が言いました。
「駅の近くの新築マンション、見に行く? ちょっと狭くなるけど、82平米で2人なら十分でしょ」
新築マンションの最新のキッチンや浴室の設備を実際に見てみると、ちょっとウキウキしました。
でも、間取りには懸念事項もありました。別々の寝室は取れるけど、ベッドを置いたら小さい机がせいぜいだし、このウォークインクローゼット、あまり入らないよね……など。
我が家のお金の管理は夫の担当です。「予算に合うの?」「今のマンションを売って持ち出す費用は1700万くらい。引っ越し費用やカーテンや家電を買い替えたり、いろいろ入れても、2200万は超えないと思う」そんな会話もしました。次の週末、話し合いが始まりました。
「駅に近い分、ここよりうるさかったね。今みたいに窓からの景色も良くはないし」「そんなこと言ってたら、ここから動けないよ?」「別に今の家が嫌なわけじゃないけど、収納もバラバラで使いにくいし、物置状態の部屋もある。いっそ、ここのリノベはどう? 間取りも変えると高いのかしら?」「そりゃどこまでやるかで、費用は相当変わるよ。キッチンやお風呂や洗面も入れ替えるの? 駅からの距離、遠いままでいいの?」
夫は、リノベという選択肢はあまり考えていなかったようでした。
「でも、あの新築に住み替えても、結局私たちの思い通りにはならないような気がしたの。かといって新しいマンションでリノベするのは予算オーバーでしょ?」
「そこまでする必要ないよ。あのマンションでいいと思うけどな。きっと便利だよ」
「私、今度こそ納得のいく間取りとインテリアにしたいの。家にいる時間も長くなるし」
誰かに相談したい気分でしたが、一般論を聞いても仕方がないし、結局私たちにとって何がベストかは、自分たちで判断するほかないと思いました。でもすぐに意見が食い違い、話し合いはいつも途中までになるのでした。
そんな時目にしたのが「リノベか住み替えか迷ったらoao」という広告。これ、私たちのことだ、と思いました。
「ねぇ、このサービス面白いかも。でもどうやって私たちに最適かどうかわかるのかな?年齢とか資産?」
「高いリフォームを売りつけられる仕組みなんじゃないの?」
「そうかなぁ。収納やインテリアも提案してくれるみたいよ。私、今度の家ではインテリアコーディネーターにお願いしたかったの。結局新しい家を買っても、私たちのセンスじゃこの程度でしょ。もっとおしゃれにしたいし」
「ホテルライクにはしたいけどね。でも、家にばかりお金かけて、趣味や旅行が楽しめないのは嫌だし、いよいよ動けなくなった時に入る施設だってそれなりのところじゃないとな」
「老後のお金のことも相談できるみたいよ」「老後のことはちゃんと考えてるよ」
夫は、お金に関しては慎重派です。任せておけば安心ですが、その分、私は予算に関してはあまり発言権がありません。
「そのサービス、いくらかかるの?」「たぶん50万円くらい」「高くない?」
「そうかなぁ。私の友達がマンション買った時、インテリアコーディネーターに頼んだら20数万かかったけど、すごく良かったって」「とにかく失敗したくないから、ちゃんとプロに聞いてみようよ」
夫はあまり乗り気ではないようでしたが、とにかく初回の相談を受けました。
そこからは早かったです。2人でああでもないこうでもないと議論していた2ヶ月は、全く無駄な時間でした。私たちは最も基本的で重要なことを何一つ話し合っていなかったからです。
oaoの担当者には、こう聞かれました。
「老後はどんなふうに過ごすのが理想ですか?」
「新居で優先したいことは何ですか?」
「今の家で最もお困りのことは何ですか?」
どの質問にも、うまく答えられませんでした。二人の意見もバラバラでとりとめのない答えでしたが、話すうちに夫の考えが初めてわかり、夫も私の気持ちを理解してくれたと思います。それをoaoが整理してくれました。唯一意見が一致していたのは、いつか犬を飼いたいということでした。
oaoが検証して提案してくれたのは2つの案です。
1つめは、夫が気に入った駅近の新築マンションへの住み替え。新築でも、理想を叶えるには多少のリノベが必要で、インテリアや造作家具、小規模リノベ、引っ越しの費用を含め、今の家を売却したお金を差し引くと、持ち出しは2500万円。収納と、私が1人になれるスペースを確保するための費用がプラス要因でした。
2つめは、今のマンションをリノベして住む案です。スケルトンリフォームで、仮住まいの費用と引っ越し費用、インテリア、造作家具を入れて2200万円。キッチンやお風呂、洗面は1つめの新築のマンションと同程度のものを選択しました。
費用だけを比べると、300万の違いなら駅近の新築の方がいいとも言えます。でも慎重派の夫が出した予算2200万円はオーバー。どうかなと顔色を窺うと、「後者のリノベですね」とあっさり。
「先日御社がまとめてくださったように、僕たちが最も大事に思っていることは何しろ健康で、少しでも長く2人で自立して住み続けることです。次に、家にいる時間が長くなるだろうから、お互いある程度プライベートを保てること。そして、ホテルライクでおしゃれなスッキリした空間で過ごすことです。どの点もリノベ案の方が良さそうですし、予算にも収まっている。どう思う?」
「私も同感です。間取りや収納プランは圧倒的にこちらの方が思い通りでした。夢が叶いそうで嬉しいです!」
夫は予算も暮らし方も、ちゃんと判断基準に沿って決めてくれたんだと思いました。
「概略プランと概算見積もりをいただきましたが、このままリノベ案を実行するにはどうしたら良いでしょうか? 引き続き工事などの手配までお願いできますか?」
「はい、もちろんです。ここからはオプションとなりますが、ぜひお任せください」
「追加費用はどうなりますか?」
「デザイン管理費が発生します。それは工事の請負金額の◯%となります。弊社の推奨する工務店に現地の確認と完成までのスケジュールを打診してみます。詳細なお打ち合わせを、弊社の建築士やマンションリフォームマネージャーと進めさせていただきます。ライフオーガナイザーの収納計画も間取りに反映させます。それから詳細図面を作成し、工事のお見積もりをとります。並行して、インテリアコーディネーターが家具やカーテンのショールームなどをご案内していく流れです」
要望を理解してくれた概略プランがほぼできているわけですから、打ち合わせはあっという間でした。
実はその後ショールームを回る中で、キッチンも家具もカーテンも、少しずつ予算をオーバー。最終的にはプラスのお見積もりになってしまい……。
「来年、新車に乗り換える予定、やめたら?」「いやそれはマネープランに別枠で入ってるから。それよりコンベックオーブンって何? ケーキなんて焼くの?」
そんな会話もしましたが、oaoのファイナンシャルプランナーによれば、この追加費用は私たちの老後のプランに大きな影響はない範囲とのことだったので、妥協しないことにしました。こういうところもスムーズで、喧嘩せずに済むのも助かりました。
リノベが完成して半年が経った頃、コロナ禍となり緊急事態宣言が出て、私も夫もほぼ在宅勤務になりました。最初は生活リズムがつかめず大変でしたが、リノベしておいて本当に良かったなと夫が言います。自分のスペースがあるので、テレワークも問題ありません。念願だった犬を飼うことも叶いました。床もちゃんと愛犬仕様にしてもらいました。この家と愛犬のおかげで、とても豊かな毎日を送れています。この生活を長く維持できるよう、健康に気をつけようと、二人で朝晩愛犬の散歩を習慣に。長年気に入っている静かな環境なので、本当に落ち着きます。
お金に対する考え方も変わりました。夫は、老後の不安からやみくもに蓄えをと考えていたようですが、今は生きているうちに活きたお金の使い方をしないと意味がないと感じているようです。私は家に花を欠かさないように、フラワーアレンジメントを習い始めました。当初、夫は「絵なんているの?」と言っていたのに、初めて買ったリビングのアートをとても気に入って「次のボーナスで、寝室にも何か選んでくれるようにインテリアの人に頼んでおいて!」と言います。あの時oaoに出会わなかったら、アートにも無縁なままのつまらない人生だったのかもしれません。
人生の価値観まで変わる家探しや家づくりは、選択の前にプロに相談するのが重要だと実感しています。