Story 2
買ってからでは遅かった!
人生設計まで変わってしまう決断、立ち止まって考え直すと……。
私は42歳、妻は39歳。最近バレエ教室に通い始めた4歳の娘、1歳の息子の4人家族です。
賃貸から分譲マンションに住み替えて半年、毎日楽しく過ごしています。でも実は、分譲マンションを決める途中で、危うく大きな失敗をするところでした。
5年前、私たちは新婚生活を私の住む賃貸マンションでスタートしました。会社からの家賃補助が40歳でなくなるため、それまでに頭金を用意して家を買おうと計画していました。子宝に恵まれた後も家事を協力し合い、妻も仕事を続けています。仕事と育児に追われるうちに30代が過ぎ去ろうとしていました。
「さすがに手狭になってきたし、家を探さないと」と、通勤途中や昼休みにネットでマンション探しを開始。いくつか候補を挙げて、モデルルーム見学や内覧会へ、ベビーカーを押しながらは意外と大変でした。写真でいいなと思って行っても、実際は違うんですよね。
30代半ばで結婚したので、お互いある程度貯蓄もあったし、収入が約2倍になり、支出の合算は減ったので、独身時代よりむしろゆとりがあるように感じていました。
自分たちに見合った住まいがどの程度のグレードなのかよくわからなかったのですが、既婚の同僚や、先輩一家が住んでいるマンションくらいならいけるのではないかと漠然と思っていました。
調べてみると、ここ20年マンションの価格は上がる一方でした。都心で駅近で新築なら資産価値が落ちにくいので、将来子供が巣立つ頃に売って、夫婦2人用のこぢんまりしたマンションに買い換えれば、むしろ老後資金の足しになるのでは……そう考えると、大きな買い物でも、あまり躊躇する必要はないように思えました。
住まいの相談カウンターでいくつか紹介をもらい、内覧した中で、私がとても気に入ったマンションは、新築で1億円に近いものでした。
営業マンは、65歳までに完済予定の、妻と連名のローン計画を立ててくれました。
「ローンの審査も、これならまず間違いなく通ると思います」
私はちょっといい気分でした。ウォーターフロントで、駅から5分以内の3LDK。高層階の大きな窓からの眺めもよく、ラグジュアリーなエントランス。仕事をがんばって、やっとここまでこれたという感慨も湧いてきました。
私より経済観念がしっかりしていて、無駄遣いしない妻も「ローンの審査が下りるのであれば」と反対はしませんでした。しかし、やはり8千万円のローンにためらいは感じたようです。
一方で妻は、憧れていた家具やアートでインテリアをしつらえることを楽しみにしていました。欲しいと見せられたソファは、1台で100万ほど。私は内心、最初からそこまで贅沢しなくても良いのではないかと思っていました。
「家具とかは後でゆっくり考えるとして、とりあえずこのマンションで契約していいかな?」と確認すると、妻は言いました。
「私、やっぱり不安。本当に大丈夫かな。別にここまで豪華なマンションじゃなくてもいいような気がする」
「お金のことが心配なの?」
「教育費とか、老後のお金とか……」
「いざとなったら売ればいいんだし、むしろ都心で駅近でないと、将来売りにくいかも。中途半端なものを買う方がこわいよ」
「そうね。でも、ここ3LDKだけど、4.2畳の部屋、物入れみたいだし」
「2LDKの方がいいってこと?」
「それも困るような気がするけど」
妻のモヤモヤを晴らす材料を示すことが、私にはできませんでした。明確な論点のない話し合いは、会社の会議より苦手です。しかしゴリ押ししてしこりを残すのは避けたく、ローンも連名で借りるので、妻の合意は必須です。
そんな時に目に入ったのが「住まいの選択に迷ったらoao」という広告。ファイナンシャルプランナー、インテリアデザイナー、不動産のプロが相談に乗ってくれると書いてありました。
第三者に客観的に判断してもらえるサービスか。セカンドオピニオンとしてプロの意見を聞けば、妻も納得できるだろう。50万円強の費用は、1億円の0.5%を保険と考えるしかないな。万一、自分の選択に間違いがあったら大変だ。私の苦手なインテリアを妻がoaoに相談できればありがたい。何より、夫婦でギクシャクする精神的な負担と時間の浪費は避けたい。事実、私たちは仕事と育児で心身ともに疲れていました。
妻も相談してみたいと思ったようでした。何より、女性目線で相談に乗ってくれそうなところが良かったようです。
「今、決めようと思っているマンションがあるんですが、妻が不安があるというので、セカンドオピニオン的にプロの意見が欲しいんです」
「はい、oaoはまさに、その段階でご利用いただきたいサービスです。ただ、ご要望をお聞きし、お住まいに伺って調査をさせていただく必要がございます。またチームで話し合う時間も必要なので、正式なお申し込みからおよそ2週間から3週間ほどいただきますが、よろしいでしょうか?」
「できるだけ早い方が助かりますので、そちらのスケジュールに合わせるよう私たちも努力します」
内心「え、うちに来るの? 一緒に片づけもするの? そこまでしなくてもいいと思うんだけど……」と思いましたが、ともかくアドバイスに従うことにしました。
担当者に相談している時、妻は「本当はこういうインテリアにしたくて。でも、生活感が出ないように、これはしまいたいんです。と、私も聞いたことがないようなことを、堰を切ったように話していました。
そしてお片づけの実践や、ファイナンシャルプランナーからの詳しい聞き取りなどを経て2週間後、出された回答を聞いて、私は愕然としました。
「お二人が今後、理想の人生を送るとしますと、今、住まいの購入にかけられるご予算は、家具や家電なども含めて7600万円です。ローンは5600万円に抑えた方が良いかと思います」
え、ウソでしょ? 8千万円のローンも絶対大丈夫と言われたんだけど……? 妻も驚いていました。
根拠は全て、数字になっていました。説明は明確でしたが、最初は腹立たしく聞こえました。混乱していたので、その日は早々にわかりましたと返事をして、お引き取り願いました。こんな答えを聞くために50万も払ったのか、馬鹿馬鹿しい!と思いました。
子供たちが寝てから、妻が声をかけてきました。
「でも、良かったね。確かにショックだったけど、私、なんかスッキリした。高級な家を買うことと、家族で楽しく暮らすことは別物なんだよね。そこが私のモヤモヤだったんだと思う。自分でもよくわかってなかったけど、気づけてよかった」
「ローンに追われてあくせく働くよりも、家での時間を大切にする方が、私は幸せだと思う。もちろん仕事も一生懸命するけどね」
私の落ち込みをよそに、妻は饒舌でした。
「弟か妹ができても大丈夫なように計算してもらってるし、浪人してもバレエ留学しても大丈夫だって」
「それに、参考に見せてくれたマンションとインテリアのプラン、なかなかいいよ。ほら、ダイニングに憧れの丸テーブルが置けるし、収納もオーダーで作るんだって。壁紙を張り替える予算も入ってる。私、前からいいなぁと思ってる壁紙があるの。そういうのも全部入れて7600万円弱なんだって。新築以上に素敵なインテリアになるよ!」
わかってるよ。正しいよ。あのタワマンに比べれば、電車に乗る時間が15分、歩く時間が5分増えるだけ。今とさほど変わらないし、2つの子供部屋にもベッドと机が入るし。壁紙で妻がご機嫌なら、それが一番平和だと思うよ。でもさ、俺にだってプライドがあるんだよね……。
あのタワマンには未練もありましたが、何が自分にとって最も大切かは明白でした。私たちが支出可能な7600万円で、最大の費用対効果を出せるプランを、oaoは代替案として用意してくれていました。新築ではなく、7600万円で中古のマンションをリノベして、妻の希望する家具や壁紙を採用するという案でした。oaoが提携する不動産屋さんから、近い物件を3つほど推奨してもらいました。
内見にはoaoの建築士やインテリアコーディネーターも同行し、ここをこうして、家具をこう配置して、と現場で説明してくれました。ここまで考えて決めるから失敗しないんだと、初めて理解しました。
結局、住んでいたマンションの販売手続きもお願いできたし、収納計画も、家具やカーテンの納品もお任せできて、本当にラクでした。何より住んでみて、人生の質が圧倒的に上がったと日々実感しています。
さまざまなプロに、忖度のない中立的な立場で意見をもらうことは、人生最大の買い物をする際に必須だと思います。
もしもあのタワマンを買っていたら、全く別の人生を送ることになっていたはず。結局、この家探しの件で、ますます妻に頭が上がらなくなりましたが、oaoを探し出したのは俺なんだから感謝してくれよ!と、心の中で自分をほめています。